「プシュー!」





ドアが音を立てて開いた。

どれくらい電車に乗っていたのか。

降りたところは東京だった。

日はとっくに暮れていたが、人通りは多く、止むことは無かった。

ネオンの光で照らされた夜の町を、一人歩いていた。






#05 夢日記2〜東京旅行編〜


この先に書いてある事は全て本当に見た夢の話である







大通りの横断歩道を渡り、歩いていった先にゲームセンターを見つけた。

中はにぎやかで、昔ながらのゲームが所狭しと置かれていた。

その片隅に、2階に繋がる階段があった。

2階からはにぎやかな声が聞こえてくる。

上がってみようかと思った時、そこに何があるのか察したのだ。

そう、そこは賭博場だった。

「これが東京か・・」

それだけ言うと私はゲームセンターを後にしたのだった。




もともと東京は好きではない。

それなのに何故、自分はここに立っているのか?

わからない。

一人旅をしていて、気が付いたらここにいたのだ。

「そろそろ帰るか・・・」

そう思った私は家族に土産を買って、この地を去る事にしたのだ。



駅に近いからだろう。

土産屋はすぐに見つかった。

中に入ると、バーゲン用のかごに入れられた菓子が目に入った。

『東京名物 キティーちゃん饅頭』

『東京名物 ごま団子』

店内を見回ったが他にめぼしいものは無い。

結局その二つを買って帰ることにした。



しかし、旅を続けていたせいか、もう金が底をつきかけていた。

帰りの電車賃を考えると千円くらいしか余裕は無い。

まだ値段をちゃんと見てないことに気がつき、

私は値段が書いてある張り紙を見た。


『キティーちゃん饅頭 一個100円』

『ごま団子 100g100円』


「・・・・・・・・・・・・。」


グラムで書くメリットはあるのだろうか?

ごま団子は別に1個あたりいくらで書いても問題は無いはずだ。

そもそも、別の張り紙には

ごま団子1個あたりの値段も書いてあったはずなのだが・・・。


わからない。

やはり私には東京は合わないようだ。



とりあえずごま団子800円分を買って帰ることにした。

あたりを見渡したがレジが見当たらない。

その辺にいた店員に聞くと、

「では、こちらの書類に記入してあちらの店員(外国人)にお渡しください」

と言って契約書を渡されたのだ。


ああ・・・これが東京か・・・。



『物を買う』と言う行為は契約の一種であり、法律でもそう定められている。

だからと言って、契約書を書かせるとは・・・。

しかも渡す相手は日本語が話せそうも無い外国人だ。


「これではじかれると買えないらしいよ」


隣の客が話し掛けてきた。

そうなると無意味に緊張してしまい、名前すらまともに書けなくなってしまった。

何度も訂正してるうちに、紙はぼろぼろになっていった。


「これ以上は、この町にいられそうも無い・・・。」


ついに買うことをあきらめた私は、旅に終わりを告げた。








『夢』と言う名の旅に・・・。









#05 夢日記2〜東京旅行編〜










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