あれは、そう・・・、

四月五日午前五時ごろだっただろうか。

またしてもあんな目に逢うとは・・・(注1)。



#04 夢日記〜バスジャック編〜


この先に書いてある事は全て本当に見た夢の話である






バス停についた。

ドアが音をたてて開いた。

私はあの時、市バスの一番後ろ、

右から二番目の席に座っていた。



バス停で男が一人乗って来た。

覆面をして、黒っぽいジャンパーを着て、

40センチほどの大きさのかばんを持っていた。



なぜ誰も何も言わないのだろう。

私には不思議だった。

明らかに銀行強盗だ。

男は私の左斜め前の席に座り、

後ろにあった台にそのかばんを置いた。(注2)



少し手を伸ばせばかばんに手が届く。

そのまま振りまわせば犯人の後頭部を直撃できる。

そう思った。



しかし、私はある事に気がついた。



この男は動揺していない。

どうやら、まだ犯行前のようだ。

何もしていないのに後頭部を直撃したら、

誰が見てもこっちが悪者になってしまう。



そして少し経った時だった。

外は高速道路の影で薄暗かった。

バスは右折にさしかかっていた。



突然男が片手を挙げ語り出したのだ。



「みなさん、少し聞いてください。

 右側に注意してください。(注3)」



しかし、何故か私は左側を注目していた。

対向車線から大型車が

バスに突っ込んでくるのが見えたのだ。


ただの錯覚かもしれない。

実際に事故など起こらなかったのだから・・・。



そう、事故は起きなかった。

しかし、かわりに事件が起こったのだ。



気がつくと男は拳銃を取り出して、

私に突きつけていたのだ。



気がつくのが遅かった。

たとえ早かったとしても

拳銃をつきつけられているのだ。

私には、どうする事も出来なかっただろう。



男は私に発砲した。

何の前触れもなかった。(注4)

胃のあたりからわき腹にかけて、

肉がえぐられる感触がした。



不思議と痛みは感じなかった。(注5)

ただ、漠然と、

そして、確実に、

自分が死んだ事だけがわかっていた。


・・・・・・・・

・・・・・・

・・・





次の瞬間、私はベッドの中にいた。

時計は五時を少しまわっていた。





#04 夢日記〜バスジャック編〜







注1:初夢でも、自分が死ぬ夢を見た

注2:すでに市バスの形からかけ離れているが、
   市バスである。
   恐らく改造車(以下略

注3:このセリフに意味はないと思われる。
   実際に、右側は見ていないが・・・。

注4:前触れもないどころか、
   この時男は運転手の方を見ていたはずだった。

注5:夢だったのだから当然である。






戻る